2008-02-24 / 2016-11-21
[司法/justico][立法/leĝdonado][行政/ekzekutivo]
これは国際活動での利用の為に有志でまとめた官庁名エス訳(案)です。 訳はあくまでも参考例であり、そのままの形で使うか否かは各人の自由です。 尚、他に英訳と注釈を省いた簡略版(ここをクリック)もあります。改善提案を歓迎します。[→こちらの掲示板へ]
Jen ni, Volontuloj, proponas esperantigitajn nomojn de japanaj registaraj instancoj por uzo en internaciaj aktivecoj. Ili nur celas helpi vin. Vi rajtas uzi ilin sen aŭ kun ŝanĝoj laŭ via bontrovo. Troviĝas alia versio sen anglaj nomoj kaj rimarkoj (alklaku ĉi tie). Viaj komentoj por plibonigo estos tre bonvenaj. [=> Afiŝu ĉi tie.]
このリストをまとめるにあたっては、その機関の公式の英語名を参考にしつつ も、その機関の役割と実際の組織上の位置づけ、エスペラント表現の一貫性な どを考慮しました。どの原則で貫くということではなく、ある意味で妥協の結 果ですが、実用の手引きと、今後の同種の検討作業の道しるべになることを期 待しています。
Dum la kompilado de tiu ĉi listo, ni utiligis la oficialajn nomojn de la instancoj mem en la angla lingvo, sed pli gravis la konsidero pri la efektivaj funkcioj kaj organizaj niveloj de la instancoj, kaj la kohereco de la esperantaj esprimoj. Neniu el tiuj principoj superregis, kaj kompromisoj ofte venkis. Ni tamen esperas je la praktika valoro, kaj je la vojmontrila rolo por similaj laboroj.
このリストをまとめるきっかけをつくり、またとりまとめ中に有意義なコメン トをいただきました、メーリングリストERAJの皆様に感謝します。
Ni dankas la membrojn de la retlisto ERAJ, kiuj instigis nin kompili la liston, kaj dume donis valorajn komentojn.
###
「裁判所」の訳し方については、下記の通り、複数の案があった。
Kortumo案:柴山氏1978年資料(以下「柴78」)に基づく当初案では、全てを Kortumoで統一。これに対して、NPIVによればKortumoは上級の裁判所を指す ので全ての裁判所には使えないとの指摘あり。但し、NPIVには下級の裁判所に 使えないとは書いていない。
Juĝejo案:これなら全ての裁判所に使える。しかし、合成語ゆえに機関の正 式名称には不向き。とはいえ、文章(栗田氏HP)で読むと自然。
Kortumo/Tribunaloを使い分ける案:仏和辞典によると上記5種の裁判所は上 から順にK/K/T/T/Tと訳し分けられる。Tribunaloは通常の司法制度以外 のもの(極東裁判所や軍法会議など)に使われる傾向があるとの指摘があった が、それは英語の語感によるものかもしれない。
Tribunalo案:tribunaloは全ての裁判所に使えそう。NPIV(kasacioの項)に la Kasacia Kortumo (plej supera tribunalo)とある。このTribunaloによ る統一について、ERAJ上、多くの賛意があった。これを受けて、一応このリス トではTribunaloで統一した。
Tribunaloによる統一を好まない人は、KortumoやJuĝejoと入れ替えていただ きたい。
尚、正式名称を文中でその時々別の単語に言い換えるのは文体上の自由。例え ば、la Distrikta Tribunalo de Tokio を la juĝejoと呼ぶなど。
「簡易裁判所」の「簡易」についても議論があった。
Malalta案:「柴78」から借用。廃案。
Plej Malalta案:法律的に見ると更に下級の裁判所が作れるので違う。
Rapida案:分かるが、意図と異なり実際の手続きは全く迅速でない。
Urba/Municipa案:通称で使えるかもしれない。ウィキペディアによると簡易 裁判所の数は全国438か所。但し、地方裁判所も全国50市に本庁があり、 支部を含めると何と253か所にもなる(家庭裁判所も同数ある)。
Loka案:Urbaよりも安全に使えそう。
Etproceda Tribunalo (Tribunalo por Simpligita Procedo)案:内容を説 明するのにいいかもしれない。
Resuma案:国際司法裁判所規則第29条の和訳とエス訳に「簡易手続き」と "resuma metodo"が使われていたので、「簡易」="resuma" が確定した。
尚、「最高」は英語ではsupreme一語で表すが、エスペラントのsuperaは複数 ありうるので、plejを付す。日エス辞典では「最高裁判所」は Plej Supera Tribunalo/Juĝejoと訳出されている。NPIV(kasacioの項)に plej supera tribunaloが例示されている。
参考までに、裁判官(判事)は juĝisto、裁判長は ĉefjuĝisto。
###
従来、「庁」はAgentejoとエス訳されてきたが、別の訳語に変更したい。
英語のagencyはagentと別語源であり、政府機関の意味があるが、エスペラン トのagentejoはagentoの居る場所であって、政府機関に使うのは間違いとの指 摘があった。agence(仏), agencia(西), agenzia(伊)などに対応するエス語 語根agencioが存在しない。別の表現を探す必要がある。次の各案を検討した。
Direkcio案:日エス辞典では「国税庁/林野庁/中小企業庁」のエス訳に Direkcioが使われている。しかし、政府機関名称としてDirekcioは違和感があ る。逆にだからこそ「庁」専用に使えるとも言えるが。
Administracio案:インターネット検索の結果、中国の「省/総局」(日本の 「省/庁」に対応しそう)がMinisterio/Ŝtata Ĝenerala Administracioと 訳されていた。庁のドイツ語訳(スイスからの投稿)Verwaltungsamt (直訳: administrado+oficejo)は、結局administracioになるのではないか。しかし、 Administracioは英語のAdministrationのエス訳と誤解されよう。
Ŝtat-Oficejo案:既に英訳にOfficeとNationalを含む庁(検察庁/特許庁と 警察庁/国税庁/国税庁)のエス訳ではOficejoとŜtataが使われているので、 突飛な案ではない。むしろ、以前のリストにあったAgentejoとOficejoを統一 できる。リンスによれば日本の庁はAmt (=oficejo)と一般にドイツ語訳されて いるとのこと。国を示すために単にŜtataを付けてŜtata Oficejoとしたので は「庁」以外の組織も該当してしまうし、省略してOficejoと呼んだ場合、末 端の組織と紛らわしい。Ŝtat-Oficejoならば「庁」に直接対応させることが できる。但し、それでも単なるoficejoとの混乱は残るかもしれない。
Subministerio案:Ministerio/Subministerioはきれいに「省/庁」に対応す ると考えられる(NPIVのministroを参照)。この分け方は、少なくともフラン スの制度に合致している(ロワイヤル仏和中辞典を参照)。今回はこの方式を 採用した。但し、長官はSubministroとすると、Ministroの直属部下と誤解さ れる恐れがあるので、英文名称に合わせて Ĝenerala Direktoro としたい。
省庁名が長い場合には、短縮例を[短]の後に掲げた。
短縮の方法として、ハイフンを使う形式(Financ-Ministerio)を主に掲げたが、 形容詞を使う形式(Financa Ministerio)でもよい。なお、短縮形に、例えば、 厚生労働省をMSLBとするような頭文字を列挙する方式があるが、こうしても、 他言語での略称と同一になることは希であり、一時的な使用に止めたい。一般 的な対応としては、一度正式名称で言及された機関が再度文中に登場したとき に la Ministerio あるいは la instanco などと表すことができる。
省と分野をつなぐ前置詞は、「検察庁」はdeとなったが、他はpriで統一を図 った。意味によっては、deやporも使えよう。「消防庁」はkontraŭが使える。